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No.002 おっぱいトラブルは助産師&小児カイロプラクターにご相談ください

「赤ちゃんがおっぱいを飲んでくれない」
「おっぱいトラブルで辛い」
 
そんなときは母乳相談やおっぱいマッサージだけでなく、赤ちゃんにも注目してみてください!
 
というのが小児カイロプラクターとして、声を大にして伝えたいことです。
 
こんにちは、
東京都港区で「きっず&ふぁみりーカイロプラクティック三田」の院長をしています山﨑 美佳(はるか)が第2回目の投稿を担当します。
 
お母さんのおっぱいは、赤ちゃんが「おっぱいを吸う」刺激によって作られ出てきます。
 
日本のお母さん達は、赤ちゃんがうまくおっぱいを吸えないと、おっぱいが良く出ないせい、乳首の形が悪いせい、と自分を責めてしまいますが、うまく吸えない原因がお子さん自身にあることも多いのです。
 
米国のカイロプラクティック大学を卒業した直後、私はマサチューセッツ州の小児カイロプラクターのオフィスに見学に来ていました(アメリカでは多くのカイロプラクターが学生や卒業生に自由に臨床を見学させてくれます)。
 
そのオフィスには次々と生後数カ月の赤ちゃんを連れたお母さん達が訪れて、口々に「助産師さんから赤ちゃんを診てもらうよう紹介された、母乳コンサルで小児カイロを紹介された」と赤ちゃんを診てもらっていました。
 
赤ちゃんは産道を通るときに、あるいは帝王切開でお腹から取り出されるときに、首に大きなストレスを受けます。それが残ってしまい、向き癖やアゴの動かしにくさ、口の開きにくさ、母乳の飲み込みにくさ、などにつながることがあります。
 
これはわずかな「動かしにくさ」であり、お医者さんでは「異常なし」とされます。背骨やアゴの動きから赤ちゃんの神経系がうまく働いているか詳細にチェックし「施術」できるのは、専門教育を受けた小児カイロプラクターなのです。
 
アメリカで目にした小児カイロとの自然なコラボ、何か参考になる文献がないか調べたところ、イギリスで助産師と小児カイロプラクターが共同で母乳ケアを提供するクリニックの取り組みが2016年に報告されていました(参照1)。
 
母子の健康のために世界保健機関 WHO が生後6ヶ月までの母乳育児を勧めているにもかかわらず(参照2)、おっぱいトラブルがあった母親達は生後約3週間で完全母乳育児を諦めてしまうという報告があります。今回調査が行われた合同クリニックも相談に訪れる母子の60%は生後4週間以内で、母乳育児をあきらめるリスクの高いお母さん達でした。
 
イギリス政府の報告では、産後直後、母親の81%が母乳育児をスタートしますが、生後1週間の完全母乳育児率は46%、6週間後には23%、WHOが勧める6ヶ月の完全母乳育児率は1%と低く、問題化しています。母乳期間を1週間から4ヶ月に伸ばすだけで子供が病気にかかりにくくなり、英国の子供の医療費を約28億円削減できるとの報告もあります(参照1の参考文献11)。
 
合同クリニックでは、助産師は赤ちゃんの抱っこの仕方と母乳の吸わせ方を指導し、カイロプラクターは赤ちゃんの身体機能を検査し、必要な場合にカイロケアを提供しました。
 
赤ちゃんの背骨の動きや飲み込むための筋肉に機能的な問題がある場合、母乳育児のテクニックを教わっただけではおっぱいトラブルは解決しません。難産だったり陣痛促進剤や鉗子分娩、吸引分娩などの処置を受けた場合、つまり、出産時に赤ちゃんの身体に大きな負担がかかった場合は、母乳育児が早期に終わる傾向にあると報告されていることからも、母乳ケアに赤ちゃんのカイロケアを組み合わせることが有効だとこの論文は述べています。
 
合同クリニックに訪れた85組の母子にアンケート調査を行ったところ、来院理由については、80%がおっぱいトラブルがあると答え、その他にも乳首の痛み(42%)、赤ちゃんがぐずる(39%)、母乳育児中に痛みがある(39%)、体重減少(25%)、健康のため(9%)、などと答えています。85人の赤ちゃんのうち小児カイロプラクターによって赤ちゃんの背骨やアゴの状態にまったく問題なしとされたのは5人のみ、他の80人はカイロケアを受けました。
 
当初、合同クリニックに訪れた母子の完全母乳率は26%でしたが、クリニックのサポートを受けた結果、86%が育児ミルクなしで母乳のみ、または母乳と離乳食で赤ちゃんを育てることができました。
 
日本ではカイロプラクティックが法整備されておらず、赤ちゃんを診ることのできる小児カイロプラクターは極めて少ないですが、おっぱいマッサージでは問題が解決しないという方は、小児ケアを専門とするカイロプラクターにご相談ください。
>> 日本小児カイロプラクティック協会 メンバー紹介
https://kidsinnate.com/member/
 
参照1)
Parent Reports of Exclusive Breastfeeding After Attending a Combined Midwifery and Chiropractic Feeding Clinic in the United Kingdom: A Cross-Sectional Service Evaluation.
Journal of Evidence-Based Complementary & Alternative Medicine 2016, Vol. 21(2) 85-91.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4768400/
 
参照2) 
母乳育児ってすごい
https://kiffami.com/archives/523
 
その他、参考になる記事:
母乳育児ができない…お母さんのせいだと思っていませんか?
https://kiffami.com/archives/499
 
執筆:
山﨑 美佳 DC,PhD
きっず&ふぁみりーカイロプラクティック三田/ 東京都港区
https://kiffami.com

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