新年明けましておめでとうございます。
本年も日本小児カイロプラクティック協会を宜しくお願いいたします。
本日のテーマは「母乳」
現在は数多くの「ミルク」が市販されていて、とても便利な世の中になりました。
今回はそんな世の中なのに、なぜ「母乳が大切」と言われているのかを小児カイロプラクターの「免疫」という観点でお伝えできればと思います。
まず、赤ちゃんが最初に口にする「初乳」
これは白色ではなく「濃い黄色」をしています。この色はカロテノイドとビタミンAによるもので、赤ちゃんの視覚や免疫系が健全に働くために必要です。初乳にはミネラルも豊富に含まれており、銅や亜鉛は赤ちゃんの免疫系の発達を助けます。(亜鉛は赤ちゃんの脳の発達も助けます)
このように初乳に含まれるビタミンやミネラルには大切な役割がありますが、何より初乳が重要とされるのは、赤ちゃんの免疫系の構築にかかわる白血球や抗体が凝縮されているためです。特に初乳にはSIgA(分泌型IgA)と呼ばれる極めて重要な抗体が豊富に含まれており、摂取することにより内臓や消化管、呼吸器、生殖管などの内側の膜に運ばれ、赤ちゃんをウイルスや細菌の感染から守っています。
母乳によって赤ちゃんが病気にかかりにくくなる理由は、母乳の産生過程にあります。
母乳は血液と同じ成分で作られており、乳房の中の毛細血管に取り込まれた血液からタンパク質と白血球だけ取り込まれて作られます。(赤血球は取り込まれないため母乳は赤くなりません)。この白血球は様々な種類の免疫細胞であり、それらが赤ちゃんの体に入って消化器官で働き、免疫機能を高めると考えられています。
さらに母乳の優れた点は、初めのうちはタンパク質、脂質、糖分の含有量がかなり安定していますが、お母さんの食生活や環境、赤ちゃんの授乳状況により微妙に変化していき、そして、赤ちゃんの体調の変化で母乳の出方が変わると言われていることです。
2012年に発表された研究論文では、授乳中の乳児が感染した際、その感染に対抗する成分がお母さんの母乳中で増加し乳児の免疫機能を支えている可能性があるとしています。
同様に、母乳育児をしているお母さんがウイルスに感染した場合、お母さんは抗体を産生し、それが赤ちゃんに受け継がれて保護されるとも考えられています。
こと「栄養」は市販のミルクでも補うことはできますが、赤ちゃんを守るための「免疫」を考えると母乳がとても大切になってきます。ティースプーン一杯の母乳には約300万の免疫細胞が含まれていると言われています。WHO(世界保健機関)によると、適切な食事を摂りながら、2歳以上まで授乳を継続することが推奨されています。ですので、ミルクとの混合でもいいので少しでも母乳を赤ちゃんに飲ませてあげてくださいね。
「市販ミルク」が普及したことでお母さん方の助けになっているのも事実。今回、この記事を読んでいただくことで、赤ちゃんにとっての「母乳」というのはどのような役割をもっているのかを知っていただければ幸いです。「母乳を飲ませたいのに赤ちゃんが飲んでくれない」などの場合は、カイロプラクティックでお母さん側と赤ちゃん側の両方からアプローチができますのでお気軽にご相談ください。
今年も皆様にとって笑顔溢れる一年になりますように!!
参照:
1)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22258136/
2)https://www.medela.jp/breastfeeding/mums-journey/colostrum
3)https://kidsinnate.com/post002/?fbclid=IwAR1RA-llwJ_2asdaktBFsQhRFWXV9nb8wmxIe_nOot9-MMTFHbBr6iV0-cQ
執筆:
高橋宏翼 D.C.
コネクト・カイロプラクティック ファミリー・オフィス/東京都練馬区
https://cchirodc.com