ニュージーランドの学校で行われたカイロプラクティックケアの研究から見えたこと
📘 なんだか気になる、子どもの“ちょっとした困りごと”
「よく姿勢が崩れる」「気が散りやすい」「寝つきが悪い」──
病気ではないけれど、なんとなく気になる。そんな子どもの様子に、心配を感じたことはありませんか?
最近では、こうした“ちょっとした困りごと”に対して、薬を使わない自然なケアとして「カイロプラクティック」が注目されることがあります。とはいえ、「本当に効果はあるの?」と疑問に思う方も多いはず。
今回は、ニュージーランドの学校で行われたカイロケアの効果を検証した最新の研究をご紹介します。
🏫 学校の中でケアを受けた180人の子どもたち
2025年に発表されたこの研究では、ニュージーランドの9つの小中高校に通う子どもたちが対象になりました。
学校の中に設けられたカイロプラクティックのスペースで、12週間にわたりケアを受けた子どもたちの変化が調べられたのです。
ポイントは、対象になったのが「特定の病気のある子」ではなく、「頭痛」「夜尿症」「」不良姿勢」「ADHD」「自閉症」といった、様々なお悩みを持っている子どもたちを対象に行われました。(必ずしも正式な診断がついているわけではなく、教師や保護者が特定したものも含みます)
🔍 子どもたちはどんなふうに変わったの?
研究では、ケアを受ける前と後で、次のようなアンケートが行われました。
- SDQ:多動や落ち着きのなさ、友達との関わりなどを評価する質問票
- PedsQL™:子どもの生活の満足度や体の調子を保護者が答える質問票
- PROMIS Pediatric-25:子ども自身が「疲れやすさ」や「体の痛み」などを感じたかどうかを答える質問票
その結果、「落ち着きが増した」「生活の満足度が上がった」などの良い変化が見られたと報告されています。
📉 効果量は小さいが──とても大きな可能性
この研究では、介入前後の変化の「大きさ」を示す指標として効果量(Cohen’s d)が計算されており、その値は0.14〜0.25と報告されています。これは統計的には「小さい効果」に分類されます。
ただし、今回の研究は「特定の症状のある子ども」に限定せず、比較的健康な子どもも含めて幅広く調査が行われました。それにより、全体的な変化が平均化され、“小さく”見えてしまったと考えられます。たとえば「多動傾向が強い子ども」など、明確な課題を持つ子に対象を絞っていれば、より大きな変化が観察されたのではないかと思います。
加えて、そのような限界のある研究においても、統計的に有意な変化が確認されたという点は注目に値します。ばらつきの大きい集団に対しても、共通して何らかの改善傾向が得られたというのは、実に有意義な結果です。これまで小児を対象に、これだけ大規模に継続的なカイロプラクティックケアを行なったという研究は自分の知る限りはなく、研究自体も、得られた結果も非常に価値のあるものだと思います。
🔬 今後に期待したいこと
今回の研究は、科学的にしっかりと計画されたものでしたが、いわゆる「比較実験(RCT)」ではありませんでした。
そのため、「本当にカイロのおかげで変化したのか?」をはっきり証明するには、今後さらに質の高い研究が必要です。
たとえば、ADHDの診断がある子どもに絞った研究や、別の方法と比べた研究が行われれば、より詳しいことがわかってくるでしょう。
📝 まとめ
- ニュージーランドの学校で、180人の子どもが12週間カイロケアを受けた研究が実施されました
- 「落ち着きが増した」「生活の満足度が上がった」といった良い変化が確認されました
- これからは、より対象をしぼった研究や、比較実験による検証が期待されています
まだ科学的根拠に関して、カイロプラクティックは伸び代がありますが、今回の研究だけでも単純に筋骨格系への効果だけでなく、お子さんの脳機能に対してのプラスの効果を及ぼしている可能性を感じさせる結果を示しました。また例え、小さな変化でも、子どもの毎日には大きな意味を持ちます。
よく原因がわからないお子さんのお悩みに対しての選択肢のひとつとして、カイロケアを考えてみてはいかがでしょうか?
引用:
Retrospective review of case records of school-aged children receiving chiropractic care
Duehr, Jenna et al.
Journal of Bodywork and Movement Therapies, Volume 42, 948 – 954