産後は、当然ですが、産まれてきた赤ちゃんにみな注目します。そして、赤ちゃんは一人では何もできませんから、周りの人々が常に気にかけて様々なことをお手伝いし、大切に大切に育てられます。
しかし、産んだほうの母親に関しては、余程肥立ちが悪い場合以外は、だれもあまり気を使ってはくれません。そのうえ、母親自身も自分の身体をあまり労わる余裕もなく赤ちゃんのお世話に必死になりますから、ほとんどの場合がほったらかしになるのです。そして気が付いた時には身体のあちこちにガタが来て、満身創痍の状態になることも少なくありません。
産後の身体は交通事故の全治三か月と同じくらいの状態だとかいう比喩表現があるくらい、実際にはかなりのダメージがあるというのは事実です。子宮の収縮、胎盤の剥離、会陰切開などを考えただけでも大きな負担ですし、陣痛からお産までの時間に、体力もかなり消耗します。個人差はありますが、とっても疲れることは事実です。
ここからは、私の体験談になりますが、私の場合、産前も問題なく元気で、お産も長時間にいたらず安産でしたし、産後もしばらくはとても元気でした。何より赤ちゃんに夢中であまり自分のことに注目していなかったと思います。
ところが、2か月ほど経ったころ、突然股関節痛(両側)と腰痛がやってきました。時には階段の上り下りもきついくらいに痛みがあり、赤ちゃんを抱っこするたびに「痛っ」と声がもれていました。カイロケアで骨盤矯正と脊椎アジャストメントを受けていたので、ひどくはならなかったのですが・・・
しかし、半年ほどして赤ちゃんが大きくなってきたころ、今度は両膝(特に右)が痛くなり、足の甲や指先まで痛みがやってきました。さらには右肩にも痛みがあり、腰痛も股関節痛もぶり返し、気が付くと体がボロボロだと感じるようになりました。身体がつらいと気分までネガティブになることもあり、早くケアを受けなければと思っていました。
私は完全母乳で育てていたのですが、ホルモンバランスの変化はもちろん、母乳から多くの水分、カルシウムやミネラル、タンパク源が出ていくため、一時的に骨や筋肉の栄養が不足がちになっていき、体中が悲鳴を上げ始めたのです。その上便秘にも悩まされました。水を2リットル以上飲んでいましたが、それでも不足していたのだと思います。
「なるほどこういうことか」と。今までは産後のケアを受けてくださいと患者さんに言っていましたが、赤ちゃんケアのほうをお話しがちで、母体のケアをそんなに推してもきませんでした。大変なことは頭ではわかっていたつもりでしたが、想像以上に変化が起きるのだということを実感して、今は大きな声で言いたいです。
「産後の体調管理は必須です!」と。
子育ては喜び、驚き、感動の連続でとてもエキサイティングです。しかし、楽しいことばかりでもありませんし、実際はとっても疲れます。イライラもします。だからこそ、お母さんも(お父さんもね)赤ちゃんも身体のケアをきっちりして、親子共々元気に過ごせるとベストだと思いました。
執筆:
山地 梨映子 DC,CACCP
リコ・カイロプラクティックオフィス / 大阪府
http://rico-chiro.com/