
先日、神戸大学で幼児教育について研究されている保育コーディネーターの古賀志津香先生のお話を聞く機会があり、「1日の生活リズム」についての講義に感銘を受けました。生活リズムとは、毎日毎日繰り返す行動ですが、それを適切な時間に行い、習慣化できるかどうかが子どもたちの脳や心の安定に繋がっていくというのです。
古賀先生は以前、友人に「子どもがイライラして反抗的で困っている。何に対してもやる気がない」と相談を受けた際、「早寝早起きだけでも良いからやってみたらどうか」と助言されたそうです。そのお子さんは、それを実践し、数か月後に大きく改善し、目に光が出て、やる気に溢れ、言うことをしっかり聞くようになったということでした。
ちょっとしたことのように思うかもしれませんが、生活リズムを安定させ習慣化することは、子どもの自立にもつながり、親も子も楽になります。以下に紹介する生活リズムをすべて時間通りにするのは非常に難しいとは思いますが、参考にしてみてはいかがでしょうか?特に睡眠時間の確保と自律起床を促すための早寝早起きはお勧めです。
- 6時前後に自律起床を目指します
自律起床を身につけるまで
→起こす人は、まず声をかける前に、窓やカーテンを開けて喚起し、部屋を明るくします。(換気が自律神経を刺激します)
→ここから声をかける時は「おはよう」と「名前」を呼びます。20分くらいかけてもよいのでゆっくり起こしましょう。
→子どもの目が閉じていても、目の玉が動いていたり、身体を動かし始めたらきっぱり起こします。
→最初はぐずりますが、3週間程度すると自分で起きるようになります。
- 起きたらすぐに着替えて、顔を少し冷たい水で洗う
→汗などがパジャマに付着しているので、自律神経と副交感神経のリズムのためにまずはさっぱり。
→その後、冷水で顔を洗うと、目が驚くほど覚めます。難しい年齢の子は冷たいタオルで顔を拭く。
- 朝ごはんは7時前後がおすすめ
→できれば「誰かと」食べると、食がすすむ習慣性にまでつながります。(1人で食べると習慣性が身に付きにくい)
→食事の前後どちらかに便器やおまるに座る習慣が、排泄自立を早めます。座れただけで褒めましょう。
- 身体を動かす遊びや散歩も朝に大事
→たくさん身体を使って好きな遊びをすることが大切です。
→自分を表現する「つくる」などの遊びも大切です。
→保育園や幼稚園に行っている場合は、園でOK
- 昼食は12時頃がおすすめ
→保育園や幼稚園に行っている場合はそちらにお任せ。
→繰り返しになりますが、食事の前後どちらかに便器やおまるに座る習慣が、排泄自立を早めます。座れただけで褒めましょう。
- 食べたらお昼寝。1時間半程度(特に乳児はそれ以上寝過ぎないリズムを作ることが大事)
→起きたら排泄に行きます。
→おやつを食べます。
→昼食後は「広いところで身体を動かして遊ぶ」と代謝が良くなり、夜の睡眠にもつながります。(1時間くらい遊びましょう)
- 夕食は18時がおすすめ
→遅い夕食は生活リズムを乱し、「睡眠の質」が悪くなり、「脳の記憶整理」や「物覚え」も狭める可能性があります。
→この夕食の時間が学力につながる研究成果も出ているため、がんばりどころです。
→家族の誰かと食べることが健全なリズムをつくる1番の方法です。
- リビングなどでダラダラして、お風呂に入る
→帰ってすぐお風呂に入って、その後食事にすると、自律神経のリズムが狂い、寝なくなったり、睡眠が浅くなったりする傾向があります。「ご飯―ダラダラーお風呂」の順番が、睡眠導入には良いので、おすすめ。夏など、汗が気になる場合はタオルで拭くことで対応するとよい。
→また、ダラダラすることは副交感神経の健全さを生み出すので、この時間はゆっくりダラダラしましょう。ただし、それでも寝つきが悪い場合、お馬さんや手押し車、ハイハイ競争などのスキンシップや親御さんのお手伝いをすると心も安定し、睡眠に入りやすいです。
- 入眠は8時台がおすすめ。寝る前に絵本を読んでお布団に入りましょう。
→お風呂に入ったら、テレビなどは見ず、そのまま寝るという習慣をつけることで、21時までには寝るようになります。
→子どもと多くの時間をと思ってしまいますが、ここが崩れると、全てのリズムが崩れるため、がんばりましょう。
→絵本などを1冊読んだら静かに寝ると毅然と約束しましょう。そして暗く静かにします。
→テレビの音などが聞こえる場合は消しましょう。
*遅く寝るのはどうしても子どものイライラを生み出し、次の朝の自律起床が難しくなり、食欲低下ややる気の低下につながります。日中ぼーっとして口が開いていたり、考えることができなくなる結果、イライラして手が出たりすることもあります。睡眠はとても大切です。できる限り早寝をしましょう。
いかがでしょうか?お仕事をされている親御さんも多いため、実践が無理だと感じられる方も多いかもしれませんが、子どもの心の安定のためには生活リズムの習慣化はとても大切だと思いますので、一つの参考にしてみてはいかがでしょうか?
*①~⑨は古賀先生のプリントより抜粋しております