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No.054 頭の形を丸くするには

赤ちゃんの頭の形を丸くするヘルメット治療があっという間に一般的になりました。
風邪をひいた我が子を病院に連れて行ったらヘルメットを着けている子が何人もいて、「我が子はやらなくて大丈夫か心配になった」とおっしゃる親御さんが増えています。
 
ヘルメットが一般的になると「形」ばかりが注目されて、皆が綺麗な頭の形を目指すようになります。でも本来、ヘルメット治療は医療的処置が必要な子のためにあります。誰もが頭を綺麗に丸くするためにつけるものではありません。

とはいえ「赤ちゃんの頭の形を綺麗にしてあげたい!」というのは親心ですよね。

ヘルメットをしなくても、頭は丸くなります。
必要なのは、赤ちゃん自身が頭を左右均等に動かす力と、おっぱいを力強く飲む力です。

向き癖を改善したい、頭の形を丸くしたい、とカイロプラクティックオフィスにやってくる親御さん達にお話しすることを書いてみました。

☆妊娠中の骨盤・子宮環境

実は、マタニティーカイロプラクティックも赤ちゃんの頭の形を丸くすることに繋がっています。お母さんが不調や痛みなく、心身共に元気で存分に身体を動かすことができれば、母体の骨盤や肋骨がしっかりと動き、胎内の赤ちゃんに酸素、栄養、動くスペース、を適切に供給できます。
赤ちゃんはたっぷり酸素と栄養をもらって脳神経を発達させ、体幹と四肢を成長させ、子宮内で活発に動き回って頭や首に負担のかからない自然な胎位を取ることができます。

☆出産時の頭や首へのストレス

赤ちゃんとお母さんのタイミングで自然に陣痛が始まり、母子の協同作業で順調に生まれてくれば、赤ちゃんの首にかかる負担は少なく、身体の緊張も少なく、生まれてすぐに自分で頭を動かしおっぱいに吸いつくことができます。大きな口を開けておっぱいをくわえ、口蓋(上顎)と舌とあご(下顎)を使っておっぱいを飲むことで、口の内側からの圧力も頭蓋骨の左右バランスを整えることに一役買います(上顎の骨は他の頭蓋骨と一続きです。吸いの偏りは頭蓋骨の偏りに繋がります)。

早産などで頭や顎を動かす筋力やおっぱいを吸う神経反射などが未発達の場合、赤ちゃんの動きが少なく、そのまま寝かせておくと柔らかい頭は変形しやすくなります。促進剤や吸引分娩、鉗子分娩、帝王切開など医療の力を借りた場合は、長い分娩時間や人為的な力によって赤ちゃんの身体の緊張は強くなり、反ったり首や顎が動きにくくなって、向き癖や授乳困難を引き起こし、結果として頭の変形に繋がることがあります。

そこで小児カイロプラクティックでは、赤ちゃんにサブラクセーションがないかチェックし、必要に応じてアジャストメントをおこない、赤ちゃんが自ら頭を動かしおっぱいを飲めるよう促します。

カイロプラクティックの専門用語であるサブラクセーション(脊椎関節機能不全)とは、何らかのストレスを受けた結果、背骨周りにたくさんある知覚センサーが正常に働かず、今の身体の位置や動き、周りの環境などを脳が的確に判断しにくくなった状況を指します。これは医学的には正常で健康的と判断される状態ですので、怖がる必要はありません。赤ちゃんが自ら身体を動かしていくことで、通常、多くのサブラクセーションは自然と解消します。しかし、ストレスが強かったり持続すると、サブラクセーションを自力で解消できず、頭を持ち上げにくい、おっぱいに吸いつけない、背中の反りが強い、情緒が安定せず激しく泣いて眠れない、など目に見える「症状」として表れます。

小児カイロプラクティックの専門教育を受けたカイロプラクターが赤ちゃんのサブラクセーションを見つけてアジャストメント(調整のこと。そっと優しく触れるだけに見えますが、場所とタイミングは精度が必要とされる専門分野です)をおこなうと、赤ちゃんの身体の緊張度が変わり、おっぱいの吸いが変わり、手足や身体をより自由に動かせるようになります。その結果、頭の一カ所に負荷が偏ることがなくなり、頭の形は次第に改善していきます。

☆育児期

うつ伏せの時間(tummy time)を多く持つと、頭を持ち上げる力が強くなり、頭の動きが増えて自ら頭を丸くしていってくれます。生後早いうちから、親御さんのお腹の上に載せてソファに寝そべるなど、少しずつうつ伏せの時間を増やしていくことをお勧めしています。米国の論文では、生後1週で1日5分、生後1ヶ月で1日10分(連続時間ではなく合計時間)、などと目安が報告されています(詳細はこちらの記事 https://kidsinnate.com/post012/)。

頭の形は子育ての仕方のせいだと悩まれる親御さんが多いですが、実際に来院される方々のお話しを聞くと、方法のせいではなく、親御さんまたは赤ちゃん自身の不調が主要因になっていることが多いと感じます。
親御さんが腱鞘炎や身体の痛み、メンタル不調等でうつ伏せや抱っこができなかったり、赤ちゃん側の要因でうつ伏せができず仰向けばかりになってしまったり、赤ちゃんが情緒不安定で授乳や睡眠がうまくいかず親子共に疲労困憊で、うつ伏せ時間などという余裕が持てなかったり。。

ですので、赤ちゃんの頭の形で来院された場合、赤ちゃんだけでなく親御さんのケアが必要なこともありますし、抱っこの仕方や授乳の仕方など、様々なアドバイスを提供しています。

カイロプラクティックケアは頭蓋骨をきゅっきゅと押して、頭の形を変える技術ではありません。
サブラクセーションをアジャストメントして、赤ちゃん自らが首と体幹の力を使って頭をクルクル動かし、おっぱいを力強く吸って、外側からも口の内側からも頭蓋を整えられるように促します。

ヘルメットで頭の形は綺麗になるかもしれません。でも、その要因となった赤ちゃんや親御さんの「機能的不調」はヘルメットで改善しません。ヘルメットとカイロプラクティックを併用される方も多くいらっしゃいます。迷ったり困ったりすることがありましたら、日本小児カイロプラクティック協会のメンバーにご相談ください。

執筆:
山﨑 美佳 DC, CACCP, PhD.
きっず&ふぁみりーカイロプラクティック三田/ 東京都港区
https://kiffami.com

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