日本では残念ながらカイロプラクターが自身でクライアントさんの背骨のレントゲンを撮ることはできませんが、病院で撮って来ていただいたレントゲンを見ていて本当に多いのが頸椎のカーブの崩れです。
通常乳児の頃にうつ伏せ姿勢が長くなるにつれ形成されているはずの頸椎の前彎ですが、カーブが消失しているストレートネック、または逆に後彎を形成しているスワンネックを呈する方の割合が非常に高くなっています。
自分自身まだ臨床経験6年と歴が長いわけではないので、昔との比較ということはできませんが、ストレートネックやスワンネックの割合が近年増加していることを示唆する13,000人以上を対象とした大規模な調査結果が発表されています。
2006年から2018年に掛けて、グラフを見てわかるように男女ともにストレートネックとスワンネックの割合が増加しています。ストレートネックに関してはこの12年で10%程度割合が増加しているのがわかるかと思います。
2006年以降でこれだけの変化を及ぼす原因としてリサーチの中で因果関係が証明されているわけではありませんが、思い当たることと言えば、スマホの浸透による慢性的な悪姿勢があるかと思います。
人類史数万年の中でこれだけ急激に身体の構造の変化はなかったのではないかと思いますが、今後どのような影響が出てくるのかを注視する必要があります。
とはいえ、まずは可能な予防は行っていただいた方が良いかと思いますので、
・乳幼児期のタミータイムをしっかり取ってあげる(前彎形成の促進)
・スマホやタブレット使用の際の姿勢の注意(前彎消失の予防)
この2点に気を付けて、ぜひ健康で機能的な背骨の維持を心掛けていただけますと幸いです。
参照
YiRang Shing et al. Temporal Trends in Cervical Spine Curvature of South Korean Adults Assessed by Deep Learning System Segmentation, 2006-2018 JAMA Netw Open.2020 Oct; 3(10): e2020961.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7563081/
執筆:
溝渕知秀 D.C.
オーツリーカイロプラクティック/高知
https://otreechiro.com