幸せな世の中になってほしい、子供達には幸せになってほしい、と願っている方は多いのではないでしょうか。
ところで、幸せって何でしょうか?
どんな状態でしょうか?
前回私が「集中力とは」の記事でご紹介した青砥 瑞人氏 (株式会社 DAncing Einstein 創設者)。直近の講義で「幸せ」について脳科学の視点から解説してくださいました。
幸せだと感じる感情には、4つの系統があるそうです。
①いとしい♡
愛する人や親しい人、可愛いペットなどと過ごしているときに感じる「いとしい」という感情。この時に働いている脳内の神経伝達物質は「オキシトシン」
②いやされる〜
自然の中やお気に入りの場所でごろりと寝転んだり、ゆったり呼吸している「いやされる〜」という感情。この時に働いている脳内神経伝達物質は「セロトニン」
③わくわく♪
好きな物や人を目の前にしたとき、何かに没頭しているとき、あるいはこれから起こることへの好奇心や興味で「わくわく」している感情。この時に働いている脳内神経伝達物質は「ドーパミン」
どの感情を好むか、幸せと感じるかは人それぞれです。
私の活力源としてはどの4つも大切ですが、特に「いやされる〜」と「わくわく」は必須です。
皆さんはどうでしょうか?
ライブで叫ぶのが爽快な人もいるし、疲れる人もいる。
自然の中で寝転ぶのが好きな人もいるし、退屈だったり淋しく感じる人もいる。
その人の置かれている状況や成長過程によっても変わっていきます。
昔は仕事に没頭することに爽快感を感じたけれど、今は猫をなでているときが一番幸せ、とか。
そして大切なのはここから。
「幸せな人」というのは、「幸せな体験をたくさんした人」ではなく、「幸せな感情を自分の内側から頻繁にひっぱり出せる人」。
例えば、朝起きたら、外は雨が降っていて、まずは水を飲んで、子供を起こして、今日も1日忙しい、という時に、特に感慨にふけることなく朝の準備をする人がいる一方、
わ〜朝だ、今日は雨が心地よい、まずは窓をあけて深呼吸、(いやされる〜)
水が美味しい、(たまらん!)
子供の寝顔かわいい、おはよう、(いとしい)
今日も忙しい一日が始まるぞ、(わくわく)
と幸せな感情をたくさんひっぱり出せる人は「幸せな人」。
さすがにここまで幸せな人になるのは難しそうですが、結局、幸せな人になるかならないかは自分次第、ということです。
いつも「水が美味しい!たまらん!」って飲んでいる人は、水を飲むことと「たまらん!」という感情が強固に結びついて、水を飲むとすぐに幸せになれる。「パブロフの犬」ですね。
幸せな感情を味わう癖をつけると、脳の中で神経のシナプスのつながりが強化されて、目の前の情報と幸せな感情がすぐ結びつくようになり、脳内にオキシトシンやセロトニン、ドーパミン、β-エンドルフィンなどが発生しやすくなります。つまり、筋トレならぬ「脳トレ」で幸せを感じやすい脳をつくることができます。
これは喜ばしい情報です。
「子供にもっと良い体験をさせてあげてたら、もっと幸せな子になったかもしれないのに」と悲観する必要がない、ということです。
どんな環境でも、今からでも、日常のささいな事柄に「いとしい、いやされる、わくわく、たまらん」と感じる機会を増やせたら、しだいに「幸せな脳」が育ちます。子供の時に幸せじゃなかったな、と感じる大人は、ご自身の脳を鍛えて「ささいなことに幸せを感じる脳」を育てれば良いのです。
私たちは生き残るために、「何かいつもとは違う」というエラー信号を脳の前帯状皮質(Anterior Cingulate Cortex)という場所で検知すると、自動的に脳の扁桃体が不安な感情を引き起こす、という仕組みを備えています。
つまり、私たちの脳は「いつもとは違う」ことにとても敏感で、すぐに不安を感じる仕組みになっているのです。「いつもとは違う」ことにわくわく幸せを感じる自動的な仕組みは脳にはありません。意識的に、意図的に、幸せを感じられるよう「脳トレ」する必要があります。
落ち着かない子、イライラしている子、不安で動けない子、
そんな子にはまず、本人がわくわくしたりいやされる瞬間がいつなのか、どんなことかを観察して、それを頻繁に食卓で話題にしてみてはいかがでしょうか?
しだいに子供自身が楽しいことを考えるのが得意になって、心が落ち着いてきます。
親子で一緒に取り組むのが難しければ、親が自分だけ「幸せな脳」になってしまうのもお勧めです。大人が幸せに敏感に気づけるようになれば、自然と明るい話題が増えて、ネガティブな事を探さなくなり、子供も変わっていきます。
我々カイロプラクターもお手伝いします。
カイロプラクティックアジャストメント(施術)を受けて、いやされて、すっきりしてください。身体が軽くなればわくわくする心が蘇ってきます。
アジャストメントで血中のオキシトシン濃度が増加するという論文報告もあるんですよ。
参照:
1)DAncing Einstein 一般公開講座
https://www.da-einstein.com/lecture
2)Changes in biochemical markers of pain perception and stress response after spinal manipulation.
Plaza-Manzano G et al. J Orthop Sports Phys Ther. 2014 Apr;44(4):231-9.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24450367/
執筆:
山﨑 美佳 DC, CACCP, PhD
きっず&ふぁみりーカイロプラクティック三田/ 東京都港区
https://kiffami.com/