つい最近、ニュースでコオロギの粉を使ったパンや給食などが話題となり、賛否両論あるようです。大人はまだしも子供に食べさせるものには細心の注意を払っている親御さんも多いので、こういった情報にあたふたしている人も多いのではないでしょうか?
では、果たしてコオロギの粉は本当に悪い食べ物なのでしょうか?調べてみるとタンパク源や食物繊維・抗菌作用成分のキチンも豊富で鉄分・カルシウムも摂取できると言われています。これだけを聞くと悪くはなさそうですが、見た目が気持ち悪く、虫ということで毛嫌いすることが一番の懸念要因なのでしょう。
海外では、タコを食べる日本人を気持ち悪いという人もいますし、カンボジアの蜘蛛のフライやメキシコの蟻のたまご、アイスランドの羊の睾丸、フランスのエスカルゴも人によっては嫌がることもあります。食文化はみんなそれぞれなのです。
そのように考えると、食べる・食べないは他の食品と同様、個人の選択肢になってくると思います。そこで、今回は食育について少し考えてみようと思います。
食育とは・・・
農林水産省では、「生きる上での基本であって、知育・徳育・体育の基礎となるもの」と定義されていて、文部科学省では、「子どもたちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けること」と定義されています。難しく言うと分かりづらいのですが、つまり、生活の基礎となる基本的な食事について学ぶということです。
では、食事とは何か?食事には2つの意味があります。1つは、身体を作るため。つまり、健康を維持するために必要な栄養分を摂取するため。2つ目は、食を通して習慣や文化を学び、おいしく食べることで心の豊かさや満足感をもたらし、人間関係やコミュニケーションの形成に役立つもの。
しかし、最近の食育は、1つ目の意義に偏り栄養面や身体に良い・悪いだけを重視し、2つ目の意義を軽視しているように感じます。
コロナ禍のせいでもあるとは思いますが、黙食と言うなんとも残念な食事時間を強要され、飲食店の人数制限があり、外食での飲酒も禁止、その上あれはダメこれはダメと食べないほうが良い食品の情報が乱立して、豊かさや満足感は全く得られていないのではないでしょうか?
もちろん、子供にはあまり食べてほしくない食品というのはあります。
しかし、食べたことがないと何が良くて何が悪いかも分かりません。多少身体に良くないと言われるものでも、家族や友達と楽しく、おいしくいただけばそれは1つの食事の形であり、とても大切な経験になると思います。逆に身体に良いとされるものでも、あまり口に合わないのに無理に食べていれば、それは本当に身体に良い作用をしているのでしょうか?
そこで、子供たちにはしっかりと
1.食べると良いもの、
2.食べても良いもの、
3.食べないほうが良いもの、
4.食べなくても良いもの、
5.食べると良くないもの
を選択できる知識を与えることが大切です。食べないほうが良いものや、食べると良くないものがなぜ存在するのか?それはお酒やたばこなど、嗜好品と呼ばれ、時と場合によって選択されることがあるということを知ることも必要です。
食べる喜び、楽しんで食べること、おいしいと思うこと、そして感謝の気持ちを育むことで、食への関心が沸き起ってきます。そうすると、きちんとした食習慣が得られ、より良い食の選択もできますし、さらには食文化の理解も進むのではないでしょうか?
参照:
・食育とは
執筆:
山地 梨映子 DC,CACCP
リコ・カイロプラクティックオフィス / 大阪府
http://rico-chiro.com/