「お子様の脳は活発に働いていますか?」
今回はこのテーマでいきたいと思います。
いきなりの質問ですが、この記事を読んでくださっているあなたはお子様に対しスマートフォンやタブレットを使うことに賛成ですか?それとも反対でしょうか?
携帯電話はこの20年で大きく変化しました。
誰かと簡単に電話できることに喜びを覚え、気がつけばメールでやりとりができるようになり、インターネットに接続して調べ物ができるように…
そして現在では動画視聴はもちろんのこと、お財布や定期代わりになり、アプリを使用しての会議も可能となりました。2020年5月の携帯電話国内出荷実績は109万台とのなっており、そのうちスマートフォン(以下スマホ)は87万台となっています。
このように驚くべき進化を遂げている携帯産業ですが、どうやら使い方にも注意が必要のようです。
東北大学加齢医学研究所所長の川島隆太教授の研究によると、調べ物をする際に紙ベースの辞書を使った場合と、インターネットを使用した時の脳の活動を比較した際、紙ベースの辞書を使用した方が脳(主に前頭前野)の働きが活発になることが分かりました。前頭前野とは「考える」「記憶する」「アイデアを出す」「感情をコントロールする」「判断する」「応用する」など、人間にとって重要な働きを担っている分野で、人間が人間らしくあるためにもっとも必要な存在といえます。
この研究で驚くべきことは、スマホを使用した際にこの前頭前野が「全く働いていない」ことです。既に、ゲームやテレビ視聴では前頭前野に抑制がかかることが分かっており、長時間の使用は言語知能の発達に悪影響を及ぼし、脳発達、特に前頭前野の発達に遅延が生じることが明らかになっています。川島教授は、これらの研究から長時間のスマホ使用も同様に前頭前野の発達に悪影響を及ぼすのではないか、と危惧されています。
2018年に行われたアメリカの研究では、1日平均2時間以上タブレット端末を使用した子供たちは言語及び思考テストのスコアが低下し、7時間以上使用した子供たちは論理的、客観的思考などに関連する大脳新皮質が薄くなっていることが分かりました。
他の研究では、2歳以下の子供は画面をじっと見ていてもほとんど理解や学習はしておらず、人から学習することがわかっています。言語発達は1歳半から3歳の間に急速に進みますが、子供たちが最も言語を習得するのは大人と話したり遊んだりするときであると報告されています。また、小学校低学年でテレビなどを多く見る子供たちは、読解力が低下したり注意力が欠如しやすい傾向があるとされています。
当院で患者さんとお話しさせていただく際は、小さいお子様のことを考えるとやはりおもちゃや絵本など手にとって遊べるもの、音がなるものなど。小学生のお子様には自然に触れることの大切さや本に触れることの必要性などを伝えさせて頂いております。もちろん各ご家庭の教育方針がありますので、可能な限り無理のない形で行ってくださいねという言葉も重ねてお伝えしています。
時代が進むにつれて生活が便利になりましたが、それと同時に今まで当たり前にできていたものができなくなってしまっているように感じます。情報収集が容易にできる今だからこそ、情報に踊らされることなくしっかりと本質を見定めて頂ければと思っています。
もしお子様のことで少しでも気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
ではもう一度お聞きします。
「お子様の脳は活発に働いていますか?」
【参照】
東洋経済:スマホが脳の発達に与える無視できない影響
https://toyokeizai.net/articles/-/220685
Health Matters: What Does Too Much Screen Time Do to Children’s Brains?
https://healthmatters.nyp.org/what-does-too-much-screen-time-do-to-childrens-brains/
一般社団法人 電子情報技術産業協会:統計資料2020年5月
https://www.jeita.or.jp/japanese/stat/cellular/2020/05.html
執筆:
高橋宏翼 D.C.
コネクト・カイロプラクティック ファミリー・オフィス/東京都練馬区
https://cchirodc.com