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No.59 「ふらふら、じたばた」は見守る?先回りする?

「首がふらふらして不安定なので、首枕をしています」
「つかまり立ちの足がふらついているので、インソールを勧められました」
「寝返りができずにじたばたして泣くのですが、大丈夫でしょうか」

様々な情報が飛び交う現在、子育ては不安になることばかりです。「辛くないように」「問題が起きないように」という愛情から、大人はついつい「先回り」して環境を整えてあげたくなります。

しかし、その「ふらふら」や「じたばた」こそ、新しい身体のバランスや未知の環境に適応しようと、お子さんの脳が一生懸命に試行錯誤している大切なサインなのです。

脳は「試行錯誤」で鍛えられる

自力で頭を支えようとふらふら動くことで体幹機能が育まれ、思い通りにいかずにじたばたすることで、新しい動きを獲得するための神経回路が脳内でつながっていきます。

もちろん、首がすわっていない時期の長距離移動に首枕が役立つこともありますし、首枕のサポートで頭の変形を予防するという考えも一理あります。しかし、実際には首のすわっていない赤ちゃんも自力で頭を動かす能力を持っています。抱っこやうつ伏せ時間(タミータイム)を経験しながら、自ら重力を制御する方法を学んでいくのです。

大人が先回りしすぎると、脳が環境に適応しようとする「学習の機会」を奪うことになりかねません。これは「高熱を出して危険なときには一時的に薬が必要かもしれないが、基本は水分と休息で充分。自力で回復する過程で免疫力が育っていく」という考え方と同じです。足のインソールも同様で、ふらふらとバランスを取る経験こそが、足・目・体幹からの情報を脳で統合する貴重なプロセスなのです。

「好奇心」が脳を成長させる原動力

「ハイハイを充分にする前につかまり立ちしそうですが、止めさせたほうがいいですか?」というご相談をよく受けます。確かにハイハイは体幹や四肢の制御に重要ですが、ここで最も注目したいのは、お子さんの「好奇心」の存在です。

「あそこまで行ってみたい!」「高いところにあるものを触りたい!」というわくわくした気持ちで動いているとき、脳内では成長を加速させるドーパミンが放出されています。最新の脳科学では、この「わくわく」を感じている時ほど、神経回路の結合が強化されることが分かっています。*1

毎回「危ないからダメ」と好奇心を阻まれてしまうと、脳の成長にブレーキがかかってしまいます。ここは「先回りして止める」のではなく、大人の工夫のしどころです。つかまり立ちしようとしているときは手出しせず見守って、達成したら「何が見える?」「背が高くなったね!」と一緒に楽しむのも良いと思います。

ハイハイをいっぱいしてもらうには、つかまるものがない広い場所に遊びに行ったり、ダンボールで作ったトンネルくぐりや布団の山登りで遊んだり、成長して大きくなってからでも、よつばいでよじ登る遊具などでたくさん遊ぶことで充分身体機能は鍛えられます。

カイロプラクターが見ているもの

私のオフィスでも、ようやくつかまり立ちできるようになった子供たちが、空気清浄機につかまって「いたずら」の真っ最中です。好奇心全開でつま先立ちになりながら危なっかしくバランスを取り、脳を鍛えている彼らを、手出し口出しせずに見守っています。

子供たちを見守る中で私たちカイロプラクターが注意深く観察しているポイントがあります。それは「緊張と左右差」です。

体をぎゅっと固めたり、手足をピーンと突っ張らせている子は、一見「首がすわるのが早い」「立つのが早い」と喜ばれがちですが、実際は「ふらふら、ぐらぐら」する経験が不足し、体幹が弱いままだったり、刺激に敏感なことがあります。
また、片方だけふらふらする、片方だけ固めている、といった左右差も身体制御がうまくいっていないサインです。

カイロプラクティックのアジャストメントは、体内や体外環境の情報を脳に届ける全身のセンサー(固有受容覚)の働きを改善し、身体の「自己認識」を明確にします。アジャストメントを受けると、自分の身体が今何をしようとしているか、よりクリアに脳に伝わるようになり、不必要な力みが抜けてバランスが整います。お子さんは次の来院までに、自らの好奇心に従って思う存分「ふらふら」し、勝手に脳を鍛えて成長してきてくれます。

「どこまでが見守りで、どこからがサポートが必要なサインなのか?」
迷われたときは、ぜひお気軽に私たちカイロプラクターにご相談ください。お子さんが自身の身体を自由自在に操り、遊び尽くせるよう、共にその成長を見守っていきましょう。

*1 引用:Dancing Einstein 青砥瑞人氏レクチャー(2025年12月実施)
『変わりたくない脳、成長したい脳』〜 脳から迫る『成長』最重要因子たち
https://www.da-einstein.com/

執筆:
山﨑 美佳 DC, CACCP, PhD.
きっず&ふぁみりーカイロプラクティック三田/ 東京都港区
https://kiffami.com

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